卒業アルバム会社のマツモトがソラナで事業拡大を模索。新規展開と株価ストップ高

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卒アルのマツモトがソラナで事業拡大を模索し、新規展開の思惑から株価ストップ高まで話題になっています。
老舗の卒業アルバム会社が第三世代の分散型インターネットとブロックチェーンへ舵を切る背景と、投資家が注目すべき論点を整理します。

目次

卒アルのマツモトがソラナで事業拡大を模索した背景

卒業アルバム制作を祖業とするマツモトが、ソラナを軸にした事業拡大を模索している――このニュースは、教育×デジタルの文脈だけでなく、株式市場のテーマ株物色とも強く結びつきました。

https://www.matsumoto-inc.co.jp/

卒アル領域は季節性があり、少子化の影響も受けやすい一方で、学校・自治体・保護者という信頼を重視する顧客基盤を持っています。ここにデジタル証明や改ざん耐性の高い記録技術が乗ると、従来の「印刷物」から「データ資産」へ価値の置きどころが変わります。

私が注目したのは、単に「非代替性トークンをやる」という短絡ではなく、学校現場で求められる“証明”や“記録”に寄せている点です。第三世代の分散型インターネットは流行語になりやすい反面、導入現場の運用が追いつかず頓挫する例もあります。
マツモトは既存事業で培った制作・台帳・納品のオペレーション経験があるため、技術先行ではなく業務設計から組み直す余地が大きいのが強みです。

とはいえ、まだ「検討」「構想」の段階であることも重要です。事業拡大の模索が、いつ売上・利益に反映されるのかは別問題で、投資家・利用者の双方に冷静な見立てが求められます。

「成長の証明」をブロックチェーンで実現する新規展開の狙い

「成長の証明」をブロックチェーンで実現、というコンセプトは、卒アルの延長線上にあるようでいて、実は市場の取り方が変わります。卒アルは“思い出”の保存ですが、成長の証明は“実績・プロセス”の証跡化に近いからです。
たとえば、部活動や探究学習、地域活動、作品制作のログなど、テストや内申点に乗りにくい活動を、時系列で追える形で残す発想は、教育の多様化とも相性がいいでしょう。

ただし、証明=評価ではありません。ここを混同すると、子どもの活動が監視されているように感じられるリスクもあります。新規展開で重要なのは、本人の同意、公開範囲の設計、データ削除や訂正の扱い、学校間での互換性など「技術以外」の論点です。

想定されるユースケースと価値

並列で整理すると、価値が見えやすくなります。

  • 学校内での活動履歴の保全(転校・進学時の引き継ぎ)
  • 大会・検定・受賞などの証明(偽造防止、提出簡略化)
  • 作品・ポートフォリオの真正性担保(制作時点の証跡)
  • チーム活動の貢献ログ(協働学習の可視化)
  • 企業・地域連携のプログラム参加証明(探究の外部接続)

また、導入先ごとに求められる要件は異なります。学校は保護者説明や運用負担、企業は採用での活用可能性、自治体はデータ主権と統治体制が焦点になります。
私は、この手のプロジェクトは「誰が費用を払うのか」が最終的な成否を分けると感じています。学校が予算化できるのか、保護者課金にするのか、企業が採用のデジタル化として利用料を払うのか。価格設計が曖昧だと、良い構想でも継続が難しくなります。

ソラナを選ぶ理由とブロックチェーン活用の現実的な論点

ブロックチェーン活用でソラナが選ばれやすい背景には、高速処理と低コストというイメージがあります。記録を時系列に積み上げる用途は、取引(トランザクション)回数が増えやすいため、手数料や処理待ちがボトルネックになりがちです。
その点、ソラナは大量データを扱う設計と相性が良いと評価されることがあります。

ただ、現実には「何でもブロックチェーン上に書けば良い」わけではありません。個人情報を直接書き込むのは避け、ハッシュ化や参照設計(ブロックチェーン外で保存+ブロックチェーン上で真正性証明)にするのが一般的です。
教育分野ならなおさら、データの取り扱いは慎重で、プライバシー影響評価、アクセス権、監査ログ、障害時の復旧などが運用要件になります。

ここで押さえたいのは、ソラナを使うこと自体が目的化すると危険だという点です。目的は証明の信頼性向上と運用の効率化であり、チェーン選定はその手段です。
個人的には、ソラナのような公開型ブロックチェーンを使う場合、学校・自治体が納得できる説明(なぜ自前のデータベースではだめか、どのデータが改ざん困難である必要があるか)が用意できるかが鍵だと思います。

過去の教訓と今後の展望から読む事業拡大の確度

新規展開を語るうえで欠かせないのが、過去の取り組みから何を学び、どう設計を変えるかです。第三世代の分散型インターネット事業は、概念実証(実証)までは進みやすい一方、継続収益につながる「課金ポイント」と「運用体制」が固まらずに終わるケースが少なくありません。
この「過去の教訓と今後の展望」を丁寧に見ると、単なる材料視ではなく、実装可能性の判断材料になります。

今後の展望としては、教育だけでなくクリエイティブ領域、地域活動、スポーツ、企業研修などへ横展開しやすい点が魅力です。活動履歴の真正性は、分野を超えてニーズがあります。
一方で、横展開を急ぎすぎると、各領域の規制・慣習・導入フローの違いで運用が破綻しやすい。まずは「教育現場で成立する最小プロダクト」を作り、成功パターンを定義してから拡大するのが王道でしょう。

事業拡大のリスクとチェックポイント

投資家・関係者が確認したい点を表で整理します。

観点 チェックポイント うまくいかない例
収益モデル 誰が利用料を払うのか、単価と継続率 概念実証止まりで予算化できない
データ設計 ブロックチェーン上/ブロックチェーン外の切り分け 個人情報を過剰に記録して炎上
ガバナンス 発行主体、運用責任、監査の仕組み 責任所在が曖昧で導入停止
利用体験 先生・保護者の手間、導入手順 現場負担が増えて使われない
法務・規約 同意取得、削除要請、権利関係 作品・写真の権利が整理されない

私は特に、利用体験(現場負担)の項目が軽視されると頓挫しやすいと感じます。先生は新しいシステムに割ける時間が限られますし、保護者への説明責任も重い。
裏側のブロックチェーンが優れていても、入力・承認・公開の導線が複雑だと、利用が定着しません。

株価ストップ高の理由と投資家が冷静に見るべき材料

株価ストップ高は、期待が一気に集まったサインである一方、短期資金が集中した可能性も示します。今回のように、ソラナ、ブロックチェーン活用、デジタル証明といったテーマ性が強い材料は、値動きが大きくなりやすいのが特徴です。
市場は「新しい成長ストーリー」に反応しますが、実際の業績寄与は時間差で訪れます。

投資家目線で大切なのは、投資家向け広報や開示の粒度を追いかけることです。提携先がどこか、概念実証のスケジュール、対象市場の定義、重要業績評価指標(導入校数、継続率、利用者あたり平均売上など)が示されるかで、事業拡大の確度は変わります。
また、開発・運用コストが先行するなら、短期的に利益を圧迫する可能性もあります。

個人的には、ストップ高のニュースを見た瞬間に飛びつくより、数日〜数週間かけて材料の実体を確認するほうが納得感が高いと思います。テーマ株は期待が剥落する局面も早いので、期待と実装の距離を測る姿勢が欠かせません。

追うべきニュースフローの例

  • 実証実験の開始時期と参加機関(学校・自治体・企業)
  • データの扱い(個人情報の保護設計、同意の方式)
  • 収益化の方法(定額課金、利用料、企業向け提供、共同事業)
  • ソラナ上での具体的な実装範囲(何を記録し、何を記録しないか)
  • 監査・障害対応(運用体制、サービス品質保証、問い合わせ窓口)

これらが具体化してくると、株価の材料が「思惑」から「検証可能な計画」へ移っていきます。投資判断をするなら、ここが分岐点です。

まとめ

卒アルのマツモトがソラナで事業拡大を模索し、新規展開の構想が株価ストップ高につながった背景には、教育×デジタル証明という強いテーマ性があります。
一方で、成功の鍵はブロックチェーンの採用そのものではなく、現場運用・プライバシー設計・収益モデルの具体化にあります。過去の教訓と今後の展望を踏まえたロードマップがどこまで示されるかを追い、期待と実装の距離を冷静に見極めることが重要です。

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